冬、フランス東部、サヴォワへの旅 2013.12.18
  サヴォワの雑貨メモ
                   
 フランスの東、スイスやイタリアとの国境にあるサヴォワ地方は、アルプス山脈があるから、地平線が続くフランスの一般的な風景とは異なる。山を背景に家々とモミの木が点在し、冬は雪がそれらを白く覆う。

 サヴォワ地方は、ビスキュイ・ド・サヴォワというスポンジに似たシンプルな焼き菓子、水玉模様の焼きもの、ハード系のフロマージュもいろいろあって、いつか訪れてみたいと思っていた地方だった。初めて訪れたのは、夏のヴァカンス前だったか。パリよりも随分涼しかったが、郷土料理のフロマージュフォンデュをおいしくいただけなくて、苦い思い出となってしまった。それから何度か訪れた中で、冬のサヴォワが、らしくてすごく好きだ。

 冬に訪れたのはサヴォワ地方の中心都市シャンベリー。ロッジふうのホテルに宿をとり、チェックインが終わるとすぐホテルを飛び出した。


サヴォワの特産品を売るお店

特産品のドライソーセージは、アルプスに
住む野生のヤギの角形をしている

Saléron/木製の塩入れ
Saléronは正確にはサヴォワとプロヴァンス地方に挟まれたオート・アルプ県のケイラス(Queyras)の伝統工芸品。アルプスに生息する松の木で作られる「塩入れ」だ。直径8cmのものは普通の塩入れとして、直径80pのものはハムなどを塩漬けにするための保存容器として使われていたとか。

サヴォワの歴史を知ることができるミュゼ
 特産品を並べたお店やお土産屋さん、地方の文化に触れることのできる小さなミュゼ(美術館)、マルシェ(朝市)は、できるだけ足を運ぶようにしている。特に日用品などの専門店は、ジャンルを問わず、小さかろうが、ショウケースの商品がほこりをかぶっていようが、興味があれば覗くようにしている。そんなお店の片隅で、とびきりかわいいデザインのものに出合うことが多い。シャンベリーでは、街外れの古びたメルスリー(手芸用品店)でその出合いは起きた。店内に入った瞬間に歓声を上げ、モミの木柄やエーデルワイス柄の布、レースカーテンなどをどっさり買い込むことになった。
         
 夜はもちろん郷土料理がいただけるレストランへ。厚い木のテーブルがいくつか並んだ、こぢんまりとしたレストランだった。フォンデュはやはり冬に限る。サヴォワ風のフォンデュは、コンテ、ボフォール、グリュイエール、エメンタールなどを混ぜて使う。鍋底ににんにくの欠片をこすりつけ、白ワインを注ぐ。それからキューブ状に切った数種のフロマージュを数回に分けて加え、ゆっくりと溶かす。最後にさくらんぼの蒸留酒「キルシュ」を加える。華やかな香りが加わり、消化の助けになるのだとか。溶けたフロマージュがクツクツと音をたて、何ともいえないおいしい匂いに包まれた。


マルシェで特産のフロマージュ、トム・ド・サヴォワを売るマダム
Drap de Bonneval/天然羊毛のテキスタイル
創業1817年の老舗 ARPINは、山で育てられた羊から採れる羊毛のみを使用し、昔ながらの機械と技術を受け継ぎ、製糸から織りまでを手掛けている。肌触りがよく、温かくて軽い天然羊毛の毛布やひざ掛けは、昔からサヴォワの人々の暮らしに欠かせないものだった。

     

これも特産のフロマージュ、ルブロッション

フォンデュをいただけるレストランがあちこちにある


  Poterie savoyarde/サヴォワの焼きもの
赤土を使い、模様を入れ釉薬をかけただけのぽってりとした素朴なもの。特にサヴォワ焼きのボウルにほどこされた伝統的な水玉模様は、その様子が月の表面に似ているからか、フランス語でDécor à la lune と呼ばれていたとか。

 翌朝、プティ・デジュネに、焼きたてのクロワッサンを食べたくて、街中のブーランジュリー&パティスリー(パン屋兼お菓子屋)に探しに出かける。おいしいそうなお店を吟味しながら歩いていたら、ショーウインドウに大きなボウルの中に積み上げられた焼きメレンゲの山を見つけた。近づいてみると、サブレやタルトレットなどの焼き菓子のプレゼンテーションにサヴォワの焼きものが使われていた。サヴォワの焼きものは水玉模様が最もベーシック。アメ玉くらいの大きさで、色はレンガ色や淡いマスタード色が多いから焼き菓子にもよく合っていた。こんな気のきいた演出がなされたお店に巡り合えたのは、後にも先にもこの1軒(今、行けばあるのかもしれないが……)だ。
穴があいたフロマージュがエメンタール。
サヴォワのフォンデュには、サヴォワ産のエメンタールやグリュイエールを使うのが原則

        

サヴォワの焼きものを使ったブーランジュリー&パティスリー

 サヴォワの焼きものは自分用にも買ったけれど、旅の最中に、実際に使われているシーンに巡り合えたことが、貴重で、一番の思い出のような気がしている。


サヴォワの焼きもの屋の軒先

 
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