秋、フランスの南西、バスクへの旅 2013.09.19
  バスクの雑貨メモ
                   
 バスク地方のバイヨンヌ、ビアリッツ、サン=ジャン・ド・リュズの3都市は、少なくとも4回は訪れていると思う。街を散策していて、まず何がワクワクするかというと、バスクらしいものに出合うこと。よく茹で上がったオマールエビの殻みたいな赤や、黄味の濃い新鮮なバターみたいな色のペンキで塗られたカラフルな木組みの家。その軒先に、乾いたエスプレット唐辛子の束や生ハムのかたまりがぶら下がっている光景を見つけるとか。お店の文字(フォント)やマークも、丸みがあって独特だし、そこで、ベレ帽をかぶっていた彫りの深いおじいさんなんか見つけたら、わーって、心の中で大歓声を上げる。
 バスクのレストランではいろいろ食べたけど、旅日記をめくらずに思い出せるのは、これ。バイヨンヌのパン屋だったと思う。外に出しっぱなしにしてあったサンドウイッチのリストに「ピーマンのオムレツ」と「バスクの生ハム」という文字を見つけた。早速、列に並び、サンドウイッチを買う。選んだのはもちろん「ピーマンのオムレツ」。パリには生ハムのサンドウイッチはあっても、オムレツなんて絶対にない。手にしたサンドウイッチは、バゲットの中にオムレツがしわくちゃになって押し込んあるという感じだった。オムレツはスライスした玉ねぎとししとうのような辛くない青唐辛子の輪切りが入ったやわらかめの薄焼き卵風で、油、塩、こしょうがきいていてすごくおいしかった。

バスクの家の外観

特産品のエスプレット唐辛子

Linge Basque /バスク生地
ペイ・バスク(Pays Basque)は、直訳するとバスク国という意味。バスク国の7州を表す7本のラインが入った生地だ。昔から、この生地を牛の体全体にかけ、虫や太陽の光から守ったという。バスクの国旗の配色でもある、赤とグリーンのラインのものが最もトラディショナルで、現在では様々な色のヴァリエーションが織られている。


写真左/バスク生地の一番ポピュラーな色の組み合わせ、赤×グリーンを敷いたパン屋さん。

写真右/レストランでいただいたバスク料理に欠かせない素材「赤ピーマン」を使った詰めもの。

         
 バスク産スイーツの代表、おいしいGâteau basque(ガトー・バスク)探しも旅の目的のひとつだ。駅の売店からマルシェまで、ありとあらゆる場所にガトー・バスクはあった。大きさもひとり前から、カットしたもの、直径18pくらいのショートケーキサイズまで様々。一般的なカスタードクリーム入りではなく、正統派&少数派のブラックチェリーのジャム入りが食べたかった。一番おいしかったのは、やっぱりマルシェ。味もさることながら、形も、格子模様の入れ方も妙に粋だった。

 スイーツに関してもうひとつ。バスク地方は、お隣スペインからチョコレートがフランスに最初に入ってきた場所なのだが、バイヨンヌに、素敵なChocolat chaud(ショコラ・ショウ)がいただけるLa Maison Cazenaveがある。このためだけにバイヨンヌに行きたくなるほど素敵なお店だ。サーヴされたカップには、カカオ色のムースがこんもりとのっていて、まるで芸術品のよう。さらに小花柄のカップがエレガントさを添える。まずは、トレイの上のその泡を含む全体像をうっとりと眺めるところから始めなくてはもったいない。このショコラに、厚切りのバタートーストがつく朝食セットは、私の世界の朝食ベスト10に入る。ショコラのために添えられた生クリームを、私はトーストにつけていただく。ショコラを飲む。この単調な繰り返しがたまらないのだ。朝食セットをいただくなら、絶対に秋がいい。このためだけに、私はバスクの旅を秋に持ってきたのだから。

 カラフルなマジパンのお菓子Touron(トゥーロン)も、スペインからもたらされたもの。おいしいマジパンは、ネトリ感とふわっと感のバランスがよくて、白餡に似ているなあと思うが、バスクのトゥーロンはこのタイプに当たる確率が高い。ぜひ旅の間にひとつ、お試しあれ(回転のよさそうなお店で買うのがおすすめです)。

 本来のバスクらしさは、小さな村々にあるのだが、車がないという理由でまだ訪れたことがない。村々で見つけるバスクらしさは、いったいどんなものだろうか。

カスタードクリームのガトー・バスク

特産品のブラックベリーのジャム

トゥーロン

Faïence decor Basque/バスク柄の陶器
20世紀後半に大量に作られた陶器の中に「バスク柄」というものがあった。7つの州の「統一」をイメージさせるもので、赤と紺のラインで構成されている。バスク地方の伝統料理を出すレストランでは、このお皿で供されることが多い。

 

     
写真左/ふわふわのショコラ・ショウ(手前)は、手でムース状にしている。その名もショコラ・ムース―。

写真右/街中にあるCazenaveのサロン・ド・テ は20世紀初頭からバイヨンヌの人々に愛されている。
   
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