vol.12「緩やかな時間」
文:川井 京湖
 とうとう今回で最終回です!ホントあっという間の1年間でした。着いて間もない頃は見るもの何もかもが新鮮で、1日がとても早く感じられたのが、最近はようやく肩の力も抜けて、ゆったりと生活できるようになってきたので、もう少し残りたい気持ちでいっぱい。でも、日本の家族や友達と久しぶりに再会できるのもうれしいし、今は複雑な気分です。

 パリで生活してみて、日本との違いを感じたのは‘時間の流れが緩やか’なところ。ファッションに敏感なパリのイメージがあるけれど、意外にその年のトレンドに左右されていない人が多く、“上から下まで今年のトレンド!”という感じの人は実際、街に出てみてみると少ない。昔からのアイテムを少しの小物でアレンジして着こなしている人が多くて、それぞれのスタイルを持っている気がするし、生活においても新しいものばかりに目を向けるのではなく、古いものも大切にリメイクして使うから、蚤の市もしっかり生活に根づいているのだと思いました。昔ながらの道具や家具などをそうやって、今の時代に上手に活かしているところに、とても共感を覚えました。

 同じように、街中でも近代的な建物はほとんどなく、100年前後昔に建てられたものを少しずつ修理したり、内装を変えたりして、きれいに残しています。そのおかげで、いつパリに来ても大幅に景色が変わることはないけれど、それが近代化されすぎてなく、かえって人間らしくも感じられるのです。そして、公園に行けば、どんな時間帯でもさまざまな人たちが本を読んだり、日向ぼっこをしたり、思い思いに自分の時間を過ごしているし、街行く人たちもただまっすぐ前だけを見てスタスタ歩いているのではなく、ショーウィンドウで立ち止まってみたり、街路わきのベンチで休憩したり・・・といろんな意味で、時が経つのが緩やかに感じられました。それが私たちにはとても心地よかったし、これからも流行や時代に流されすぎないで、自分たちらしく過ごしたいと再確認できたことは何よりの収穫でした。
 あと、面白く感じたのが、世界でも流行の先端を行く街なのに、機械がなかなか普及していないことです。メトロや列車のチケットは券売機でも買えるけど、機械を横目に窓口には人々の列。飲み物などの自動販売機も普及しているものの、壊れているものが多く、まだまだお店で買うのが一般的。機械を扱うのが苦手な人が多いのもあるけど、そのために人と人がコミニュケーションをとらないといけない機会がふえることは、人間が生活するうえでとても大切なのかもと考えさせられたりして・・・。

 1年間の滞在ということで、日本にいない間、家族にはいろいろ迷惑をかけたこともあったけれど、思い切ってやって来たことを後悔させないくらい、たくさんの人や物との出会いがあり、旅先での美しい景色や美味しい記憶も含めて、パリで繰り返されてきた生活は、まさに「トリコロールな毎日」と呼ぶのにふさわしい日々でした。今までに出会った数々の出来事は、私たちにとって永遠に忘れることのできない‘かけがえのない時間’になりました。

 このコラムをお読みの方で、留学や外国での生活に興味のある方には、ぜひ、おすすめしたいです!勇気を持ってチャレンジしてみてくださいね。きっと日本のことも外から見ると、今以上に素敵な国だと再確認できることも多いと思いますよ。みなさん、1年間私たちにお付き合いただきまして、本当にありがとうございました。それでは、またどこかで・・・Amicalement ! Kyoko et Osamu KAWAI

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