vol.6 おもてなし上手の秘密 ―ニコル叔母さんのマルシェ―
texte & photo : アトランさやか
先月紹介したモントルグイユの市場が観光客の多いマルシェだとしたら、今月は地元民が中心の庶民的な市場。パリの北東、メトロ7番線Crimée(クリメ)駅からすぐのこのマルシェは、木曜日と日曜日に開いています。いつ行っても、アフリカ系、アラブ系、中国系の人々でごったがえし、勢いの良い声が行き交っています。このマルシェの近くに住む義理の叔母、ニコルに案内役を頼んだのですが、あまりの人の多さに彼女の後に着いていくのも必死。    
ニコルはマルシェでもエレガント イチゴの並べ方が上手!
    この活気に溢れるマルシェの特徴は、とにかく安いこと。しっかり目をこらして買い物をしないと失敗もあるそうですが、コリアンダー、ミント、パセリなどのハーブ類などは一束なんと30チーム(50円弱)。これだったら、しばらくミント・ティーを好きなだけ飲めそう。キュウリなど他の野菜も、かたちは悪くても他の一般的なマルシェと比べると3分の1くらいの値段で手に入ります。
思う存分使えるハーブ類 花も他で買うよりお手ごろ
  人ごみに押されて転ばないように注意をしつつ、なんとか買い物を済ませてニコルの家に。喧騒を離れて、おつまみのラディッシュなどをつまみつつ、まずはシャンパンで乾杯。ニコルの家で飲むシャンパンは、親戚が知っている製造者から直接買っているというランス産です。ニコルはひとり暮らしをしていますが、彼女の家にはよく人がやってきて賑やか。私たち夫婦も週末にお邪魔していつも美味しい料理をいただいています。  
デザートのメロンを真剣に選ぶ いくらでも食べられるラディッシュ
おもてなし上手のニコルは、人を呼んで家で食事をするのが大好きといいます。それに、フランス人は皆パーティー慣れしているので、招かれる方も得意の料理を持っていったり、デザートを用意したり、皆で準備をしているようなものだそう。子供の頃から招いたり、招かれたりする中で育ってきた彼女にとって、パーティーは肩が張るものでない。それが分かるので、招かれる私たちも安心していられるのでしょう。ある日曜午後のメニューは、前菜にアボカドのサラダ、メインにタラのオーブン焼き、続いて各種チーズに、ダット(ナツメヤシ)のタルトというメニュー。ニコルは言います。「私の料理はいたってシンプル。特徴は、beaucoup de citron, partout, toujours!(たくさんレモン、どこでも、いつも)ってところかしら。サラダにも、魚料理にも、絞ったレモンをたくさん使うわ」。もしかして、それが若さを保つ秘密?  
今日のサラダはイタリアン・トマト入り
ところで、彼女の台所で思いがけない宝物を見つけました。それは、ニコルが若いときにキャトル・セゾンで購入したという食器棚! パリのキャトル・セゾンは閉店してしまいましたが、ニコルはいまでも素敵だったお店の様子をよく覚えているそうです。そう、私の友人の中にも憧れる人が多いニコルは、生粋のパリジェンヌなのです。キッチンのテイストに合わせて棚にペンキを塗ったというエピソードにも、「人と同じは嫌い」というパリジェンヌらしいこだわりを感じます。    
若草色に塗られた思い出深い棚 むかし旦那様と買ったまな板

<次回>vol7. やっぱり楽しい蚤の市  ―ヴァンヴ周辺散歩―

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