vol.17 再び、ヴァンヴへ ―山本ゆりこさんと行く蚤の市―
texte & photo : アトランさやか
このコーナーではすでにヴァンヴの蚤の市をご紹介しましたが、今回はこのマルシェに、特別ゲストとして菓子・料理研究家の山本ゆりこさんに参加してもらいました。お菓子の本はもちろん、「パリで見つけるアンティーク」(ブロンズ新社)など多数の書籍の著者でもあるゆりこさん。蚤の市通いにはすっかり年季が入っていますが、その始まりは、大好きなカフェオレボウルのコレクションだったそうです。    
ヴァンヴ蚤の市入り口にあるスタンドで ボウルの底には窯元の名前が小さく
  可愛いキッチン雑貨には目がない上、カフェオレという飲み物自体をこよなく愛するゆりこさん。いつしかボウルを集め始めたのは当然なのかもしれません。昔はステンシルのものやブルーのモチーフが好みだったそうですが、最近はそれよりも白や砂色に近いベージュなどといった微妙な色合いの無地のものに惹かれるそう。350個のカフェオレボウルを集めたというだけあって、ゆりこさんは、1点1点のボウルの細かいニュアンスまでじっくり観察。高台の形や、陶器の厚さや高さなど、すべてにおいて気に入るもののみが、ゆりこさんのコレクションに晴れて加わることになるとのこと。ゆりこさんの好きなものを具体的に表現すると「甘すぎず、華美すぎず、でもちょっとキレイで、ユニークなもの」なのだそうです。フランスで「ユニーク」は最大の褒め言葉のひとつで、他に類をみない貴重なもの、というニュアンスがあります。
ゆりこさんの目に留まった繊細な魅力の絵
ゆりこさんがお友達と経営するアンティーク・ショップ「まのやtoïtoï」には、そんな彼女の審美眼によって選び抜かれたものが並びます。洋風の香りがかすかに漂う和空間に並ぶ「舶来品」は、こうやって見出され、持ち運ばれ、きれいに洗われ、パッキングして送られたもの。細かくて大変な作業もありますが、「外国のものを通して、それを手にした人の生活がハッピーになれば」という気持ちが原動力に。    
キーホルダーはお店でも人気です 「探すのが好きじゃないと出来ないですね」
    自分の「好き」に素直に従いモノ選びをするゆりこさんは、装丁の美しさに惹かれて、知らない言語で書かれた本を思わず買ってしまったり、昔フランスで使われていたキッチン道具をなんとか現代でも使えるように工夫してみたり。古いものがかもし出す雰囲気に誘われるようにモノへの興味や知識もじわじわと広がり、その情熱のおかげで、蚤の市でのお友達もずいぶん増えたようです。
紙モノが充実のお店MISSYはお気に入り 店主と気軽に話せるのは蚤の市の魅力
最後に、ボタンを売るエリックさんのスタンドへ。おふたりは、昔、エリックさんがキッチン雑貨を扱っていた頃からの付き合い。「ユリコはとても大事な友人。彼女のことはいくら褒めても褒め足りない」とエリックさん。ひたむきにモノを愛し、お店の人達に敬意を払うゆりこさん。彼らと生まれる会話から、少しずつ商品知識を身につけてきたのでしょう。少し肌寒い空の下、今日もおしゃべりが弾みます…。    
好きな鳥のモチーフに、思わず目が輝く しばらくパリを離れるけれど、再会を誓う

■「まのやtoïtoï」のサイト
http://toi-toi.net/

■「まのやtoïtoï」のブログ
http://weblog.toi-toi.net/

■ヴァンヴの蚤の市(土・日7時〜14時頃)
Angle avenue Georges-Lafenestre et avnue Marc-Sangnier 75014 Paris
メトロ13番線 Porte de Vanves


*キャトル・セゾンからのお知らせ
2008年1月から掲載してまいりました、アトランさやかさんの「パリのマルシェから」は、
8月掲載のvol.20をもちまして終了予定となりました。
残すところ3回となりましたが、ぜひ最後までお楽しみください。


<次回>vol.18 ムフタール通りへ ―お祭りマルシェとは― (6月中旬掲載予定)

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