vol.16 牡蠣を探して ―千々和真弓さんとアリーグル市場へ―
texte & photo : アトランさやか
野菜や果物が特価で買えることで有名なアリーグル市場は、前から気になっていたマルシェ。そんな市場にあるワイン・バーで、冬の間、新鮮な生牡蠣が食べられるという情報を聞きつけました。教えてくれたのは、パリで長く暮らし、素敵な人や物をたくさん知っている千々和(ちぢわ)真弓さん。そんな彼女のアンテナにひっかかったところならばと、ある土曜日、12区にあるそのマルシェに出かけることにしました。    
2006年にお店をオープンした真弓さん 真弓さんセレクトの一点ものの雑貨達
  いつも混んでいるそのバーでゆっくり朝ごはんを食べようということになり、目指すバー「Baron Rouge」(赤い男爵)で10時に待ち合わせ。朝からワイン・バーに集まるということ自体が非日常で、まるで小旅行にでも出たような高揚感です。張り切って早く着きすぎたせいかまだ牡蠣が届いていなかったので、まずはワインと生ハム盛り合わせで乾杯を。話に花を咲かせていると大西洋沿岸の港町アルカションからトラックが到着、生産者のベルナールさんがバーの外に陳列台をつくり、牡蠣の大きさ毎に分けられた箱を並べていきます。薄くスライスされたライ麦パンとバター、牡蠣にかけるレモンが用意できたら、開店準備は完了。6個、もしくは12個単位で好みの大きさの牡蠣を注文すると、代々牡蠣の養殖を営む家の8代目というベルナールさん自らが、手際よくサービスしてくれます。お勘定はバーと別なので、料金を払ってから店内に戻り、ようやく念願の試食タイム!
毎週末、約7時間車を走らせて牡蠣を運ぶ
  早速いただいてみた潮の香りが漂うような生牡蠣は、今までに味わったものの中でも特に最高のもの。口につるりと入れると、程よい歯ごたえの後にとろけるような感触が続き、いくらでも食べられそうです。繊細な味のこんな牡蠣を楽しみながら冷えた白ワインを楽しんでいると、時間も曜日の感覚も消えていきます。すっかり満席になった店内の様子のみが、そろそろお昼の時間だということを教えてくれます。  
アルカションのフェレ岬が誇る良質の牡蠣 パリのビストロ風情が漂う店内は居心地◎
いい気分になった後は、いそいそと市場へ。ここは、屋内マルシェと屋外マルシェが共存するパリ唯一のマルシェですが、まずは、質の良い品が揃うと評判の屋内マルシェに向かうことに。商品の並び方が上品なのに加えて、外の喧騒と比べると静かで落ち着いた雰囲気が、特にお年寄りに人気だそうです。ちなみに、マルシェの中央の魚屋さんの脇にある小さなテーブルでも、牡蠣をいただけるとか。    
買い物ついでに、スナック感覚でつまむ 人気スタンドのひとつ、彩り豊かなアフリカン
  屋内市場を出て、まず目についたのは天然酵母の美味しいパンで知られる「Moisin」(モワザン)のお店。吸い寄せられるように店内に入り、明日の朝用にと田舎パンを買ってから、威勢のいい声が飛びかう外の市場をくまなく歩きます。まだ少しほろ酔い気分のまま歩く度に、籠からはパンの香り高い匂いが漂い、すっかり気分は休日モードに。真弓さんのおかげで、なんとも気持ち良い週末のスタートになりました。  
パリでも最も活気がある市場のひとつです パリジャン達も行列をつくるパン屋さん

■真弓さんのオンライン・ショップ「Petitdeco(プチデコ)」のサイト
http://www.petitdeco.com/


■アリーグル市場
Rue d'Aligre 75012 Paris
火〜土8時〜13時、日8時〜14時、月休

■ボヴォ市場(アリーグルの屋内マルシェ)
Place d'Aligre 75012 Paris
火〜土8時〜13時、16時〜19時半、日8時〜13時、月休

■Le Baron Rouge(ワイン・バー)
1, Rue Theophile Roussel 75012 Paris
※この店でベルナールさんの牡蠣が食べられるのは毎年10月〜3月の週末のみ
土10時〜22時、日10時〜16時


<次回>vol.17 再び、ヴァンヴの蚤の市へ ―山本ゆりこさんと行く蚤の市― (5月中旬掲載予定)

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