vol.15 バスク地方へふらり旅 ―食いしん坊の国―
texte & photo : アトランさやか
バスク地方はフランスとスペインの国境近辺に広がっていますが、ピレネー山脈をはさんで北にある3県は「フランス・バスク」、南にある4県は「スペイン・バスク」と呼ばれています。今回の旅の秘かなガイド役は、仲間内でも食いしん坊1,2を争うフランス・バスク出身のグザヴィエ。出かける前に、見所をしっかり教えてもらいました。パリからTGVで約5時間、今回の旅は、グザヴィエが生まれた町、生ハムが名産のバイヨンヌを起点にすることに。ここに到着してまず向かったのは、1850年創業のチョコレート屋、そしてサロン・ド・テでもある「Cazenave」。手で泡立てているというふわっとした感触の軽いムースがたっぷりのったココアには、ホイップクリーム、そして10cm四方のバタートーストが添えられます。小さなバラの柄が美しいリモージュ焼きのカップを前に、フランス人のマダム、ムッシュウもなんだか子どものように嬉しそう。この1杯で旅の疲れはすっかり癒されます。  
1850年のレシピが残るのは地方ならでは?
    バスクに行ったら「必ず食べよ!」とグザヴィエに言われていたデザートが、羊のミルクから出来た「マミア」。ミルクに凝乳酵素を加えただけのいたってシンプルな一種のフレッシュ・チーズです。一口すくってそっと口にいれると、口中に甘いようなミルクの香りが漂います。パリでは食べることできないこのデザートにすっかり夢中になってしまい、食後には迷わずこれを注文することに。「マミア」は、私が初めて覚えたバスク語になりました。
もちろん、ここでもマルシェに足を運びます! 食感は、ちょっと茶碗蒸しに似ています
次に訪れたのはサン・ジャン・ドゥ・リュズ。住民1万5千人にも満たないこの小さな町は、スペインとの国境からすぐのところに位置するせいでしょうか、フランス・バスクとスペイン・バスクのいいところが交じり合ったよう。コート・ダジュールのような華美さはないけれど、素朴で、ゆったりと気持ちよくくつろげる港町です。この地独特の文化や人々の温かさと自慢の料理にひかれて、パリジャン達にもファンが増えているそうです。    
バスクらしい赤い屋根と窓のレストラン 7本ストライプのバスクの布に包まれたハム
  この街には、質の良いハウス・リネンがそろう「Charles Larres」があります。親切な店員さんが、「一晩水に浸して、その後、洗濯機で洗ってから使ってください」と教えてくれました。このお店の近くにはマカロンが評判の菓子店がありますが、こちらは残念ながらシーズン・オフでクローズ。それではと、「Etchebaste」という古くからのサロン・ド・テで、アーモンドが入ったクッキー生地の地方銘菓「ガトー・バスク」をぱくり。  
リネンと並んで地方名物のエスパドリーユ ダーク・チェリーのジャムかカスタードが中に
この地方で出会う美味しいものに気をよくした私が続いて恋をしてしまったのが、スペイン・バスクで出会ったタパス・バーでした。新鮮なアンチョピやオリーヴ、生ハムがたっぷりのミニ・サンドイッチなどをつまみながら、立ち飲みでワインを飲みながらおしゃべりする人たちの姿は陽気そのもの。そんな彼らの話すスペイン語はまったく分からなくても、その陽気な調べは、まるで心地の良い音楽のように旅の最後を飾ってくれたのでした…。    
これぞバスク人という恰幅のいいパトロン コンチャ海岸を思い思いに散歩する人々

■バイヨンヌの市場 Les Halles
Rue Port de Bertaco
月〜木、土7時〜13時、金7時〜13時/14時半〜19時、日休

■バイヨンヌのショコラティエ/サロン・ド・テ Chocolats Cazenave
19, Arceaux Port-Neuf
64100 Bayonne
火〜土9時〜12時、14時〜19時、日・月休

■サン・ジャン・ドゥ・リュズのサロン・ド・テ Etchebaster
42, rue Gambetta
64500 Saint-Jean-de-Luz
火〜日8時半〜13時/15時半〜19時

■サン・ジャン・ドゥ・リュズの市場 Les Halles
Boulevard Victor Hugo
64500 Saint-Jean-de-Luz
屋内マルシェ/8時〜13時無休
屋外マルシェ/火・金8時〜13時

■サン・ジャン・ドゥ・リュズの布のお店 Charles Larres
Place Louis XIV
64500 Saint-Jean-de-Luz


<次回>vol.16 牡蠣を探して ―アリーグル市場へ― (4月中旬掲載予定)

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