vol.10 ますます気になるビオマルシェ ―もしくはサン・ジェルマン散歩―
texte & photo : アトランさやか
「日曜の朝は近所のマルシェへ行く」というフランス人は多いけれど、それが「ビオのマルシェへ」となると、その人は食や自然食品に興味があるか、ビオマルシェの開かれるラスパイユ界隈の住民であるか、そうでなければ有名人好きかも。というのも、毎週日曜日にパリ6区で開かれているビオマルシェは、人気のあるレストランやビストロのシェフや料理研究家、そして美や健康に敏感な名だたる女優がふらりと訪れる場所なのです。    
フランス人に人気の魚、サーモンもオーガニック キャラメル色の皮のコートがよく似合うお姉さん
    「ビオ」というと、何か新しいもののように感じますが、農薬などなかった時代は皆が地道に「有機栽培」をしてきたことを考えると不思議な気持ちになります。ビオが世の中でもてはやされているということは、それだけ私達が自然から離れた生活をしているということなのかもしれません。ラスパイユのマルシェは、美食を追及する食いしん坊達だけでなく、「都会の中の自然」を求めるパリジャン達も引き寄せているようです。
こんな葉っぱは初めて見た!サラダに入れる 形は不ぞろいでも元気の良さそうな野菜たち
このラスパイユのマルシェが生まれたのは1989年のこと。政府によって有機栽培であることを認証された「AB」ラベルの商品だけが集められました。パリの中でもシックな地区として知られ、お洒落なブティックが立ち並ぶこの界隈にマルシェが現れたときは、きっとパリジャン達もびっくりしたことでしょう。しかも、そこで売られているのは不恰好な野菜や果物。当時は有機農業についてお客さんに理解をしてもらうのに苦労したそうです。それから20年、フランスでも食の安全に敏感な人は増える一方です。有機農法は手がかかるためビオ食品の価格は高めですが、その価値について消費者も以前より理解を示すようになってきているよう。街にビオ専門店が増えただけではなく、ビオコーナーが設けられているスーパーも増えました。そんな中、このビオマルシェの品揃えや品質は「パリ一番!」との定評があります。パリ市民はもちろん、郊外からも熱心な買い物客がやってくるのはそのためです。  
メトロRaspailを上がるとそこはもうビオマルシェ
  スタンドの多くは野菜や果物が占めていますが、自家製の蜂蜜やジャム、チーズ、肉、魚、ワイン、そして衣料品、石鹸やシャンプーまで、このマルシェでは色々な品物が揃っています。私のお勧めは、マルシェのちょうど中ほどにある自然派化粧品のお店Les Senteurs des fées(妖精の香り)。植物のエッセンスをもとにした化粧水やクリームからは、ほのかで控えめな香りが漂い気持ちをリラックスさせてくれます。  
精油を浸透させた天然塩はバスタイムに ブルーのボトルが美しい化粧水は飲むことも可
    マルシェを堪能した後は、パン屋さんで好みの厚さに切ったもらったレーズン入りパンなどをかじりつつ、そのまま界隈をのんびり散歩するのも楽しみ。歩き疲れたら、サン・ジェルマンの老舗カフェ、カフェ・ド・フロールやドゥ・マゴのテラスでお茶をするもよし、市民の憩いの場、リュクサンブール公園まで歩いて日向ぼっこを楽しむもよし。ほぼ全ての商店が閉まってしまう日曜午後のパリは、なーんにもしないでいい、幸せな時間帯……。
いかにも体に良さそうな海草入りのパン 天気がいい日はすかさず日光浴!

■6区のビオマルシェ
Boulevard Raspail, Entre les rues du Cherche-Midi et de Rennes 75006
日曜9時〜14時

■14区のビオマルシェ
Place Constantin-Brancusi 75014
土曜9時〜14時

■17区のビオマルシェ
Boulevard des Batignolles 75017
土曜9時〜14時


<次回>vol.11 みんなで楽しくパーティー準備  ―マルタとロノンの幸せマルシェ―

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