vol.1 Introduction
texte : アトランさやか
フランス在住7年になるライターの中川さやかさんに、今月からマルシェについてのコラムを書いてもらうことになりました。タイトルの「パリのマルシェから」は、中川さんが敬愛する翻訳家、日仏文化研究家である高橋邦太郎の名著「パリのカフェテラスから」(昭和51年)に由来しているそうです。賑やかなおしゃべりや鮮やかな色合いに溢れるマルシェで過ごす時間は、カフェで友だちと話したり、新聞を読んだりして過ごす時間と同じくらい格別だとか。旅行するだけでは見えてこない、パリの人たちの生活を一緒に覗いてみましょう。    
  マルシェが好きです。日曜日はどんなに疲れていても、雨が降っていても、かならずいそいそとマルシェに出かけます。前に一人暮らしをしていたブーローニュでは、自分で言うのも恥ずかしいものですが、私はすこしだけ人気者でした。いつも行く八百屋はかならずおまけに檸檬をくれたものです。東洋人が毎週欠かさずマルシェに顔を出し、ひとりで嬉しそうに野菜や果物、お肉やお魚、花などを買っていくのが、ちょっと珍しかったのでしょう。マルシェは午前中しか開いていないので、お客さんの大部分は家族連れだったり、早起きのおじいさん、おばあさんだったりして、若者はあまりいないのです。土曜日に、珍しく夜遊びに誘われたりすると、私は次の日のマルシェが気になってしょうがありませんでした。美味しいものを食べていないと不機嫌になる性格なのですね。それで、フランスには7年いますが、着いた当初から、私は毎週いつでもマルシェに通っているのです。
  このコーナーでは、マルシェを楽しむ方法や、パリの特色のあるマルシェのことについて、さらに、パリジェンヌやパリジャンのこだわりマルシェのことを、すこしずつ紹介します。お買い物に疲れたときにほっとできる素敵なカフェなどについても、お話できればいいな、と思っています。フランスを吹く風が、少しでも伝わりますように。温かいココアなど飲みながら、または、ライム入りの冷たいペリエでも飲みつつ、気軽に読んでいただけると嬉しいです。  

<次回>vol2. マルシェ・ファッション 〜マルシェに行くにはかたちから

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